アジ


鰺、鰯、鯖、秋刀魚…………………

日本でも最も漁獲量の多い魚種の一つだと思います。

これら四種は沿岸を大群で回遊する青魚で、栄養的にも大変すぐれているし、

味『鰺』も良いです。とくに鰺は姿や形も良く家庭では喜ばれる魚だと思います。

鰯、鯖、秋刀魚は現在は流通の発達により生食出来る様になって来ましたが、

昔は鮮度の関係もあり一部の地方などでしか味わえなかったと思います。

しかし鰺は比較的に昔から
都会の鮮魚店等でも刺身やたたき用の手軽な物が出まわって

いたようです。

あじとは味なり鰺の名は味の良さから来たというのがネーミングの由来や定説に

なっていますが、古く『延喜式』や『和名抄』には鰺は「阿遅」と記載されています。

この場合の「あ」は愛称語で、「じ」は魚名に付ける語尾と言われています。

尚、『延喜式』よりも
約100年前に組編まれた『万葉集』には「鰺」は登場?していません。

新井白石の著書『東雅』には『鰺とは味なり。その美なるをいう』と書いてあります

昔から日本の近海の沿岸でよく水揚げされた魚であり私たち日本人に馴染の深い魚です。

しかし、私の偏見かもしれませんがあまり欧米の食卓には並んでいないような感じがします。

勿論なかにはあるとは思うのですが、日本ほど料理方法『美味しい食べ方』で多趣多様な考えを

持った国はないと思うのは私だけでしょうか?

三枚におろして刺身やたたき、酢で〆て卯の花和えや鮨種、そのまま化粧塩を振って姿焼き

切り身を天麩羅、パン粉をまぶしてフライ、小鰺を唐揚げにして食べたり揚げた後に南蛮漬け

開いて一塩の干物など書き上げればきりが無いですが、すべて洋食にもアレンジできます

鰺のクルュ、鰺のタルタル、鰺のポアレ、鰺のマリネ、鰺のベニエ、鰺のパネ、鰺のフリット

鰺のエスカベッシュ、鰺のフィユメetc……

まだまだ試していない料理の方法があるはずです。頑張って探し作っていこうと思います。









鮑(鰒)


日本近海にいる鮑の中でも食用になる物として重要な『真高鮑』『黒鮑』『女貝鮑』『蝦夷鮑』

その中でも『真高鮑』が身も柔らかく、厚みもあり、調理しても身の縮み方が少ないです。

『黒鮑』や『蝦夷鮑』は最も身が固くしまっており、生食で食べる時はコリコリして此方の方が

適していると思います。一般には食べられる部分として四つに分けられていて、貝殻に接着して

いる筋肉は「ほし」。身の回りの部分は「みみ」。外側の紐状の部分は「紐」。

黒い部分の内臓にあたる所は「わた」と呼ばれています。




古の時代、日本や中国では縁起物とされていました。

我が国日本での鮑の歴史は縄文時代に遡り、貝殻は重要な食器として使われ、昔から祝いの食べ物

としてまた祝儀の進物に添えて飾り用として用いられてきました。『延喜式』にも、各地の貢物に

鮑が利用されてきたと書かれています。

その当時の産地は関東以西の国で、房総が北限の地として数々の鮑製品があったそうです。

『本朝食鑑』(1695年)には貢献品目録の記述からもうかがい知れます。

貢物で代表的なものは、熨斗鮑(のしあわび)鮑の肉を包丁で薄く長く剥いて乾燥させた物が

長寿に役立ち、慶賀の際の贈答品や飾り物として古の時代から今日まで息づいている訳です。

お隣の中国では昔々から不老長寿の食べ物とされ、秦の始皇帝(紀元前259210)は日本に

少年少女50人を派遣して鮑を持ち帰らせたそうです。しかし目的は果たせず鮑を食べることは

出来なかったと言う話が伝えられています。また同じ中国で、美人で名高い楊貴妃は容色の維持の

為に鮑を食べたそうです。しかし私が思うに当時は生食したのではなく干し鮑を、
もどして煮て

食べたり、蒸かして食べたのだと思います。何故なら中国では内陸まで運ぶ段階で
痛むはずです。

今でも中華料理の食材の中でも干し鮑は高級食材ですし、一度干したほうが
旨味がますはず。

昔から中国では生で食べる文化は少ない筈です。海鼠や鮑や鱶鰭を一度干した後に何日もゆっくり

と水で戻した後に蒸したり煮たりと手のこんだ美味しい料理を考えるところは素晴しいと

思います。

また、美味しいものを『創る?』という情熱には感心させられると同時に尊敬しました。

リスペクトしなければと思います。

まさに『中国、四千年の歴史』と言ったところでしょうか。






若鰒、床伏、常節



小型の鮑類ですが?

鮑の幼貝だと思っている人もいると思いますが、じつはまったく別の種類。

殻にあいている穴が、
8個以上が『鰒』。7個以下が『若鰒』と言う特徴があります。

トコブシは大きくなっても殻の長さが7
cm位で殻の盛り上がりも少なく薄い感じがします。

棲んでいる所も鮑より外洋性です。日本では北海道の南部以南の、日本各地に分布しています。


『若鰒』の名前の由来は、海底の岩に臥したよう(床伏)に付着している姿からつけられたと

言われています。また速やかに滑るように逃げ出す様が流れるように見えることからナガレコと

言れたり、ゴケンジョと言う方言名は「後家の女」の意で、平たい貝殻が
二枚貝の殻に似ている

にもかかわらず、
1枚しかない様子を夫を失った未亡人(後家)に例えたもの。

何はともあれ美味しい海藻を食べて育った『若鰒』は『鰒』同様に美味しいです。

生食でも十分に美味しいのですが、今回はクールブイヨンで軟らかく煮た後にエスカルゴバターを

たっぷりとのせてオーブン焼きにしてみます。



血鯛





タイ(鯛)とは、狭義にはスズキ目スズキ亜目タイ科の真鯛を指すが、同じタイ科の黄鯛、

血鯛、鰭子鯛などを総称して鯛と呼ぶ。さらに
日本では、鯛科以外の魚でも、扁平・大型・

赤っぽい体色・白身などの特徴を持つ魚には「鯛」と和名がついていることが多く、この場合

鯛とは分類上全くちがう魚もいる。黒鯛は真鯛と同じタイ科、甘鯛、金時鯛、
石鯛などは

スズキ亜目だが、金目鯛、赤色(あこう)鯛、的鯛などは目のレベルで全くちがう魚である。

このように和名に鯛と名のついた魚は
200 種以上もある。極端な場合には淡水魚で養殖が盛んな

ティラピアを、その学名ティラピア・ニロチカから「チカ鯛」などと命名して販売されていたことも

あった。こうしたものは「あやかりタイ」などと揶揄される。

日本では古来より食用魚の上位におかれ、俗に「魚の王様」とも呼ばれる。特に
神道の祭では

欠かせない食材である。日本では、真鯛はとてもめでたい魚と考えられ、それにあやかりタイ科の

仲間はもちろん、真鯛と似た赤くて扁平したタイ科以外の魚でも総称して「鯛」と呼んだり、

○○鯛という名の付いたものが多い。一方、
中国は屍肉を食う魚として下等魚として扱っている。

体色が真鯛より鮮やかで「花鯛」とも呼ばれる血鯛の方がときには値が張ることもありますが、

比べると小型の多い血鯛よりも真鯛の方が値段は高いようです。

血鯛を見分けるのに言われるのは、全体に色が明るい。背鰭の第3、第4棘がのびる。鰓蓋後縁の

鰓膜が血のように赤い、頭部背縁は角バル
などなどだが、色の明るい真鯛もいるし、背鰭の

のびる真鯛もいるし、鰓蓋後縁の鰓膜がやや赤い真鯛もいるし、頭部背縁の角バル、真鯛もいる。

いちばん簡単なのは尾鰭の後縁を見ることだろう。後縁の端だけ明瞭に黒くなっていたら真鯛、

端が赤いか、一様に同じ色なら血鯛です。真鯛は尾鰭の下葉が白くなっていることが多いが、

同じように白い血鯛もいるので注意が必要です。血鯛は、その鰓膜の色から「血鯛」になったと

言われますが、これは関西の呼び名で、語源は「小さい」ではないかという説があります。

その名の通り、全長40cmを超えるのは珍しいです。真鯛の最大クラスはメーターをオーバー

します。関東では「はなだい」と呼ばれ、花鯛と表記されて、明るい赤色の血鯛に、ぴったりの

名まえであり、華やかな感じがしますが、成魚の頭部背縁が角ばるので鼻鯛の意味ではないかとの

説もあります。料理屋でも、真鯛料理と称して血鯛を使うこともあり、別に騙さなくても、血鯛は

胸を張って血鯛と呼べばいいのになあと思うのですが、やはり悲しいかな・・日本人は?

『ブランド』に弱いようで姿も味も同等であるうえに真鯛の味の落ちてくる夏場が、逆に美味いと

言われています。この時期には 真鯛より値段が高くなります。

形が少し位しか違わず味はほぼ一緒で使い勝手の良い『血鯛』

まさに『あやかりタイ』






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ヨモヤマ・9
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